30代前半で脳の働きをブーストする

現在、オランダのワーヘニンゲンという田舎の大学に、2週間ほど滞在する予定です。田舎にあるといっても、ワーヘニンゲン大学は農業分野では世界一位の評判を得ていて、すごいところです。鳥がたくさんうろうろしている。

 

やっぱりそうだな、と今回来て初日に思ったのは、定期的に「Comfort zone」から自分で抜け出してみる必要があるなぁ、ということでした。

 

自分がまじめに頑張っている日々、それってある種のComfort zoneなのですよね。大変ではあるけど、周りの環境には慣れているし、日々どんなことをすべきか粗方検討がついている。入ってくる情報の質や量、ベクトルといったものはそんなに変わらない。結局、忙しい日常は脳にとっては「慣れた」刺激な訳です。

 

そうすると、いまいちドラスティックな変化が起きないわけで、仕事をやっていく上であんまし成長していないんじゃないかなぁと思うわけです。個人ベースで動いている研究者なんかはこれに陥りがちで、普段十分忙しいので、その大変さにかまけて根本的に新しいことを始められない。

 

 

よく、「よそ者、若者、ばか者」がモノゴトを変える、なんて言われますね。この見方は、逆の視点でいうと、よそ者、若者、ばか者に自ら進んでなると、目新しいことばかりの情報が入ってくるということです。これは脳にとっては一大事で、知らない人とどう話そうとか、職場のやりかたが全然違うぞとか、新しい場所に行けば土地勘がないとか、、、とにかくほとんどの情報が新しい。かなりDiscomfort。そうすると、脳にとってはいち早く順応しなければという本能が働いて、フル稼働します

 

僕が今回ワーヘニンゲンに二週間滞在するのもそれを狙ったものでした。自然環境科学では世界のほんの一握りの天才教授のところに、コネクションがあるわけでもないのに、なんどもしつこく連絡をとって、どうにかお邪魔させていただきます。あっちからしたらどこの馬の骨かも分からないヤツなんか受け入れ面倒くさいでしょうね。でも、そこを自分から進んでよそ者、若者、ばか者になりに行ったわけです。正直来て教授とあって話すまで「うわぁマジ行きたくねぇ」と思ってました。でもとりあえずアポとって突っ込んでみた。

 

初日にたわいない会話から自分のやりたいことを問われ、いきなり緊張でうまく説明できず、汗もダラダラでてくる始末。でも、さすが世界のトップランカー、すぐに話の要点までたどり着きます。僕が停滞してぐるぐる考えていたことについて、ここら辺の論文読んでみなよ、あと大事なことはこれを考えることだよ、などと具体的に提案もしてくれた。オリジナルで面白いからアイデアが進んだらまた話に来い、と。話終わって帰るころには、「やっぱりあぁ来てよかった」と思う訳です。

 

 

こういった武者修行って、年を取るにつれてやりにくくなってくると思うんですよね。フットワークが20代前半の頃に比べて、僕も重くなった。でも、一方で、自分の専門分野についてかなり知識と経験を蓄えてきたことで、こういった武者修行をした際の成果がより大きくなってきているのも実感します。それは、色々新しく経験したことを自分の分野に取り込むチカラがついてきているから。30代、40代、と老いるにつれて、より一層こういった武者修行をしにいかなければなぁ、と思うわけです。