世界にアピールしていこう。日本のチカラ。

日本に1週間ほど帰って、色々刺激を受けました。と同時に、自分はやはりまだ海外居たほうがよさそうだな、とも思った。

 

最近、徐々に日本から旅費を出すから来てくれ、というオファーが来るようになってきました。良い発表をするとそこから交流が出来て、更に呼ばれやすくなる、という正のフィードバック構造なんだと思う。もちろんヨーロッパの国でそうやって呼ばれるのも嬉しいんだけど、やはり自分の生まれ育った国で色々発表できるというのは格別ですね。ありがたいです。

 

 

さて、今日書くのは、

 

良い研究=研究の中身が良いことと考えられがちだけど、どれだけその存在感をアピールできるかも大事な研究要素で、日本人はそこを戦略的に真剣に考えたほうがよい」ということです。「研究」を「仕事」に置き換えて考えてOK。

 

 

 

今回日本に帰って研究交流をして再認識したのは、やはり日本人研究者で優秀な人は極めて優秀だということ。ロジカルだし、しっかり丁寧に物事の細部を考えつつ、全体のまとまりを考えている感じ。ドイツやヨーロッパの人たちと比べて、日本人の思考能力は全然負けてないどころか、勝ってるんじゃないか。そういう意味では日本に帰っても楽しい議論ができる人たちがいる、というので日本に帰って仕事をしてもきっと楽しいだろうな、と思った。

 

にもかかわらず、僕はまだ海外にいたほうが良さそうだ、と思ったし、世界的に認知されている日本人研究者(僕のいる分野では)が圧倒的に少ないのはもったいないなぁ、と思った。日本では質の良い論文はたくさん書かれているにも関わらず、諸外国の人たちが書いた文章に比べて、圧倒的に引用されない。割に合ってない

 

なぜか??

 

つまるところ、成果を国際的にアピールする力が圧倒的に日本人研究者には足りていないのだ(注:もちろん例外になる優秀な人はいくらでもいます)。

 

まず、良いものを書けばいつか注目され引用される、なんて考えは捨てたほうがいい。間違っている。というのも、毎年世に出る論文数は加速度的に増えている。とはいえ、僕ら人間の割ける時間・エフォートの割合はほとんど変わらない。するとどうか?研究者の多くは日々最新のアラートに追われ、読みたかった論文はどんどん読まれずに終わっていく。

 

また、最近の研究でも実証されたが、Google検索エンジンなどの台頭によって、引用される論文はより引用され、されないものはそもそもほとんど引用されないという二極化が起きているのだ。Google検索エンジンの検索上位に入るのに研究の良し悪しが反映されるか?されるわけがない。これも時間がない研究者が上位結果しか見ず適当に引用するという傾向があるのは否めないだろう。

 

 

要は、世の中引用される論文数は有限なので、パイ(被引用回数)の奪い合いが起きているのだ。そして、国際的に上手くアピールできた論文が引用されるのだ。

 

 

 

 

アピールする力のカギは「英語を介した発信力だと思っていい。そして、英語を通じた発信力の要素は、いくつかある。これらは相互に関係している。

 

1.英語のうまさ

2.プレセンスの示し方

3.情報発信の国際的ネットワーク

 

英語の上手さはいうまでもない。圧倒的に日本人はヘタだ。僕も5年ドイツ語圏で英語をしゃべっているけど、いまだに苦手意識は消えない。ヨーロッパ、米国、英国、オーストリア・・・みんな、英語がうまい。上手くないと、国際的で議論が活発な場で、瞬発的に割って議論に入ることすらできない。世界的にそもそも英語が流暢に話せる前提でみんな議論するのに、あやふやでうだうだ話されたらたまったもんではない。

 

これは例外があって、核心をつく意見ばかり出していたら、そういう話し方でもこいつは良いこと言うと認識され、しっかり聞いてくれます。これはプレセンスの話。とはいえ、議論の場に積極的には入れないと、なかなかプレセンスを示せない。基本的に、優秀な研究者の論文は、その人が書いたからきっと面白いし重要に違いない、という前提で読まれたり引用されたりする。要は個人としてどれだけ認知されているかも重要なのだ。芸能人やユーチューバーと一緒だ。

 

そして、自分が情報発信した時に、どれだけ瞬時に幅広く拡散できるか。これは持っているネットワークの広さが関係してくる。一番効率が良いのは、大御所や発信力のある人と良いコネクションをいくつか持つこと。彼らを通して広く知られていくと、徐々に自分のプレセンスは上がっていく。特に日本は英語バリアに加え、地理的に分断された圧倒的不利な立場にいるので、かなり頑張らないといけない。

 

 

これら英語を介した発信力をつけるには、やっぱり日本に帰ると大変だろうな、と思ったのです。しっかり積み上げてからなら日本に帰ってもいいかも。

 

アピールは、大事です。ヨーロッパにいると、たいしたことしてなくてもアピールが上手いから注目されるなんてのはしょっちゅうあります。

 

むしろ、アピールできないなら、そもそもたいした成果じゃないんだろうなと世界で思われてしまいます日本では過度に思われるアピールも、あっちでは普通。そして、アピールするのはあまり良しとされていない日本の風潮が逆風になっていると思います。自分はいい成果を出してると思うなら、どうやったら少しでも世界に発信できるか、を戦略的に考えて色々エフォートをさくべきです

 

 

ここら辺は自分も色々試行錯誤中ですが、とりあえずこんな感じのことを思っています。