ドイツで大学の面接うけてきた

2週間ほど前に、ドイツのとある大学・研究所の准教授相当の面接を受けてきました。

未熟な自分には極めて新鮮な体験だったので、ここに記しておこうかな。

今は選考結果待ちです 2020年5月に採用内定をもらいました!)

 

 

現状として、僕はポスドク(任期付きフリーター)をしているので、いわゆる終身雇用の立場になるために就職活動しています。できれば大学の教授職か研究機関でのグループリーダー的なのになりたいわけです。

 

それで今年に入ってから結構応募しているのだけど、まぁなかなか書類審査がひっかからない。日本ではもうちょっとましなのかもしれないけど、ヨーロッパでは全然で、自分は他の優秀な同年代に比べてかなり遅れをとっています。

 

いくつか応募した中でも、特に一番時間をかけなかったものが、まさかの面接へ。

時間をかけなかった、というのも、そもそも募集している職のランクが本来ならば自分が応募するなんて普通に無理があるレベルだったから。まぁものは試しだ、程度な気楽な感じでささっと書いて応募したら通過した、という。世の中わからん。

 

面接は25分間で自分の好きなトピックで話をし、15分質疑応答、その後5分大学生レベルの簡単な話をして10分間学生と質疑。最後に60分の自由な話し合い、といったものでした。

 

聞き手は、選考委員が6人、関連した専攻の教授たちが10名ほど、外部から呼ばれた分野の専門家が2名、学生2名、の構成でした。ふつうはドイツなら6人程度の候補者が全員お互いの発表質疑を聞くそうなのですが、今回のはかなり特殊だった模様。

 

難しかったのが、自分の分野外の人(教授レベル)に対して、細かい説明を省きつつ、自分が積み重ねてきた研究の幅広さと奥深さをわずか30分弱で説明せねばならんことでした。とりあえず、TEDのような発表をしようと心がけ、身振り手振りや言葉の抑揚を最大限に駆使し、自分がいかにこの仕事に情熱を注いでいて、ベストな候補者であるかをアピール。

 

その後、多少のトラブルもありつつもなんとか60分の質疑タイムへ。これがまた矢継ぎ早にあらゆる方向で質問が飛んでくる。こうなるともはや質疑応答の準備など全く意味をなさず、日々の積み重ねがどれだけのものか、をダイレクトに試されている感じでした。どれだけランクアップに対するクリアなヴィジョンを持っているのか。即戦力になりうるのか。他の教授陣と同じ土俵に立つ資格があるか。

 

「俺はあなたたちと同じ土俵でこれから一緒に戦えますよ」

 

をとにかくアピールした。時々ジョークもはさみ、余裕を見せて。

相手の研究と関われそうなところは鋭く切り込んで議論をした。

 

 

 

 

 

・・・この日の面接が終わったのち、どっと疲れた。

 

 

だけど、まだ終わってなかった。その一週間後、今度は30分×6で6人の教授らと一対一で自由な議論をさせられる。誰が来るかも、どんな話が来るかも事前に知ることが出来なかったので、これまた直球で実力が試された。

 

ここでも実力アピール。相手を持ち上げつつ、自分と一緒にやったら如何にエキサイティングかを説得させた。頭フル回転ですごい疲れたけど、印象は残せたはず。

 

 

 

で、今の結果待ちに至る、と。

 

ひとつ言えることは、常日頃、研究をとにかく頑張りました!という研究者は大学Faculty側としては求めていない、ということ。研究業績が最低限にあるのは当たり前として、そのうえ研究室のマネジメント、資金獲得、学生の指導や教育といったことに如何にエフォートを割いているのかがステップアップの上で凄い大事になってくる、と痛感。

 

正直、このポジションはランク的に、教育経験がない人は基本的に取らないはずで、僕は致命的なことに教育経験がない。とはいえ、万が一が起こるかもしれないし、とりあえずは良い経験になったので、よしとしよう。果報は寝て待てだ。